県内有数のホタルの里として知られる旭志は「熊本ホタルの里100選」にも選ばれており、毎年県内外から多くの見物客がホタルを見に訪れます。ホタルは5月下旬から6月上旬にかけて、二鹿来(にかき)川や渡瀬(わたせ)川沿いに見られます。
このコロナ禍により、3年連続鑑賞自粛を余儀なくされてしまいましたが、来年こそはホタルの群舞を楽しんでもらおうと、地元では息の長い地道な活動が続けられています。
生息地の一つ、高柳区で保全活動に取り組むのは、昭和63年に発足した「ホタルを育てる会」。そこで30年以上活動する稲葉一義(いなば・かずよし)さんの自宅前にはゲンジボタルの名所、二鹿来川が流れます。
ホタルが鑑賞できる期間は短いものですが、ホタルを育てるには長い時間がかかります。来年のホタルの数はカワニナの数で決まるため、水がよどまないよう川の草刈りも欠かせません。幼虫が上陸する3月下旬から4月は毎晩のように生息地を見て回ります。また鑑賞シーズンの交通整理も「ホタルを育てる会」の会員が担います。その活動について目を輝かせて語る稲葉さんの笑顔の奥に、ホタルを育てる誇りとホタルへの惜しみない愛が感じられます。
稲葉さんの活動はホタルを育てることに、とどまりません。地域を巻き込んだ清掃活動や学習会も行っており、その視線の先はホタルを育て続ける菊池市の未来を見つめています。市内の小学生にホタル飼育の過程を経験する学習の講師も行い、美しいホタルの魅力を伝え続けています。「来年こそはたくさんの人たちに大切にしているホタルを見て欲しい」と語りました。
※この記事は、本市にインターンシップに来た松田優羽さん(まつだゆう・県立大学総合管理学部3年生)が実際に現場に行き、インタビューして作成した記事です。松田さん、ありがとうございました。
▼インタビューを受ける稲葉さん
▼旭志地区では5月下旬から6月上旬にかけて、美しいホタルの演舞を見ることができます