延寿一族の功績として、13代武重(たけしげ)の代に考案されたといわれる『菊池千本槍』があります。
図:菊池千本槍の写真
(撮影:井上啓 ディレクション:太田光柾)
1335(建武2)年、足利軍と対峙した『箱根・竹之下の戦い』で、武重率いる菊池軍千人は三千人の敵兵に取り囲まれ、武重は咄嗟の機転で部下たちに周囲に生えていた竹を切らせて短刀を結わえさせ、相手が攻撃してきたタイミングで一斉に槍を突き立てるという、日本で初めての戦法『槍ぶすま』を考案しました。
この作戦は大成功を収め、武重は菊池に帰った後、槍を大量に作らせ、これが『菊池千本槍』と呼ばれるようになりました。
槍は後に三つ又のものや幅広のものが広く出回りますが、菊池の槍は刀身が細くまっすぐで、短刀に近い形であることが特徴です。
戦時中に、代々伝わる菊池槍を短刀に仕立て直し、出征のお守りとして使われたものも、多く遺っています。
図:菊池一族13代武重のイラスト