例年、ノロウイルスによる食中毒は冬期に多発し、大規模な食中毒になりやすいことから、公衆衛生上、大きな問題となっています。
ノロウイルスによる食中毒とは?
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
ノロウイルスによる食中毒予防のポイント
患者のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるので、
- 食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。
- 下痢やおう吐等の症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。
- 胃腸炎患者に接する方は、患者のふん便や吐ぶつを適切に処理し、感染を広げないようにしましょう。
特に、子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう。また、調理器具等は使用後に洗浄、殺菌しましょう。
以下のノロウイルスに関するQ&A(PDF 約569KB)、ノロウイルスによる食中毒予防対策リーフレットを参考にノロウイルスによる食中毒を予防しましょう。
冬は特にご注意!ノロウイルスによる食中毒
食中毒は夏だけではありません。ウイルスによる食中毒が冬に多発しています!
データでみるとノロウイルスによる食中毒は、
- 患者数で第1位
「原因別の食中毒患者数(年間)」 その他:7642人、ノロウイルス6451人(46%) - 冬期に多い
「ノロウイルス食中毒の発生時期別の件数(年間)」 3月~10月:76件、11月~2月:94件(55%) - 大規模な食中毒になりやすい
「食中毒1件当たりの患者数」 ノロウイルス37.8人、その他9.4人
ノロウイルスによる食中毒予防のポイント
調理する人の健康管理
- 普段から感染しないように食べ物や家族の健康状態に注意する。
- 症状があるときは、食品を直接取り扱う作業をしない。
- 毎日作業開始前に調理従事者の健康状態を確認し、責任者に報告する仕組みをつくる。
作業前などの手洗い
洗うタイミングは、
- トイレに行った後
- 調理施設に入る前
- 料理の盛り付けの前
- 次の調理作業に入る前
- 手袋を着用する前
汚れの残りやすいところをていねいに
- 指先、指の間、爪の間
- 親指の周り
- 手首、手の甲
調理器具の消毒
洗剤などで十分に洗浄し、熱湯で加熱する方法又はこれと同等の効果を有する方法で消毒する。
ノロウイルスの感染を広げないために
食器・環境・リネン類などの消毒
- 感染者が使ったり、嘔吐物が付いたものは、他のものと分けて洗浄・消毒します。
- 食器等は、食後すぐ、厨房に戻す前に塩素消毒液に十分浸し、消毒します。
- カーテン、衣類、ドアノブなども塩素消毒液などで消毒します。
- 次亜塩素酸などリウムは金属腐食性があります。金属部(ドアノブなど)消毒後は十分に薬剤をふき取りましょう。
- 洗濯するときは、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いし、充分すすぎます。
- 85℃で1分間以上の熱水洗濯や、塩素消毒液による消毒が有効です。
- 高温の乾燥機などを使用すると、殺菌作用は高まります。
塩素消毒の方法
次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めて「塩素消毒液」を作ります。なお、家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。
※濃度によって効果が異なりますので、正しく計りましょう。
製品の濃度 | 液の量 | 水の量 |
---|---|---|
12% | 5ミリリットル | 3リットル |
6% | 10ミリリットル | 3リットル |
1% | 60ミリリットル | 3リットル |
製品の濃度 | 液の量 | 水の量 |
---|---|---|
12% | 25ミリリットル | 3リットル |
6% | 50ミリリットル | 3リットル |
1% | 300ミリリットル | 3リットル |
- 製品ごとに濃度が異なるので、表示をしっかり確認しましょう。
- 次亜塩素酸ナトリウムは使用期限内のものを使用してください。
- 嘔吐物などの酸性のものに直接原液をかけると、有毒ガスが発生することがありますので、必ず「使用上の注意」をよく確認してから使用してください。
- 消毒液を保管しなければならない場合は、消毒液の入った容器は、誤って飲むことがないように、消毒液であることをはっきりと明記して保管しましょう。
ノロウイルスによる感染について
感染経路
食品からの感染
- 感染した人が調理などをして汚染された食品
- ウイルスの蓄積した、加熱不十分な二枚貝など
人からの感染
- 患者のふん便や嘔吐物からの二次感染
- 家庭や施設内などでの飛沫などによる感染
症状
潜伏時間:感染から発症まで24~48時間
主な症状:
- 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、微熱が1~2日続く。感染しても症状のない場合は軽い風邪のような症状のこともある。
- 乳幼児や高齢者は、嘔吐物を吸い込むことによる窒息にも要注意。