メタボリックシンドロームという言葉が聞かれるようになって20年あまり・・みなさんはどのくらいメタボについてご存知ですか?実は、おなかまわりの大きさのことだけではないメタボについて復習してみましょう。
メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満を基盤として、高血糖、脂質異常、高血圧が重複して動脈硬化性疾患の発症リスクが高くなった状態のことを言います。その中で、メタボリックシンドロームの予防を目的として、2008年度(平成20年度)から特定健康診査・特定保健指導がはじまりました。
メタボリックシンドロームの診断基準
男性 | 女性 | ||
腹囲(へそ回りの大きさ) | 85㎝以上 | 90㎝以上 | または腹部CTで100㎠以上の内臓脂肪面積有 |
脂質異常 | 中性脂肪 150㎎/dl以上または HDLコレステロール40㎎/dl未満 | ||
血圧高値 | 収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上 | ||
血糖高値 | 空腹時血糖 110㎎/dl以上 |
腹囲を満たし、かつ「脂質異常」「血圧高値」「血糖高値」の3項目中2項目以上該当する場合
↓
「メタボリックシンドローム」と診断されます。
どうしてメタボは危険なのか?
「メタボ=単なる肥満」ではありません。
通常、内臓脂肪を含む脂肪組織は、動脈硬化を防いだり血糖を調整するインスリンの効きを良くしたりするホルモンを分泌しています。
ところが、おなか周りにある内臓脂肪が過剰にたまるとそのホルモンが減り、血圧、脂質、血糖などを悪化させる働きを持つ別のホルモンが分泌されてしまいます。内臓脂肪の過剰な蓄積は、インスリンの効きを悪くします。この状態が続くと、血糖や血圧を上昇させます。また、内臓脂肪が分解して生じる遊離脂肪酸が肝臓に直接入るため、脂質異常症が発症します。
自覚症状がでないため、特定健診や職場健診などで見つかることが多いです。放っておくと、血管を痛め動脈硬化を引き起こすため、知らず知らずのうちに進行してしまいます。
メタボが進行するとどのような症状がおきるのでしょうか?
メタボリックシンドロームの状態では自覚症状はないことが多いですが、この疾患を起因とした「糖尿病、脂質異常症、高血圧」に進行すると症状が出ることがあります。これらになった状態で放っておくと心臓病(狭心症や心筋梗塞などの胸の痛み)や脳卒中(脳梗塞、脳出血などによるめまい、激しい頭痛、手足のまひなど)、糖尿病による糖尿病網膜症(網膜剥離や失明)、糖尿病性腎症(尿中にたんぱく質が漏れ出て腎臓機能が低下する)、糖尿病性神経障害(手足のしびれ、こむら返り、傷が治りにくい)などが起こることがあります。
菊池市の皆さんの状態は?
菊池市 | 熊本県 | 国 | ||||
令和元年度 | 令和5年度 | 令和元年度 | 令和5年度 | 令和元年度 | 令和5年度 | |
メタボリックシンドローム該当者 | 19.5% | 21.9% | 19.7% | 20.8% | 19.0% | 20.2% |
メタボリックシンドローム予備群 | 12.0% | 10.7% | 11.9% | 11.7% | 11.1% | 11.2% |
菊池市特定健診結果より、メタボリックシンドローム該当者の割合が増加傾向にあることがわかっています。令和元年度では熊本県よりも低かったのですが、令和5年度では県や全国平均よりも高くなってきています。生活習慣の見直しを行うことで、少しでも内臓脂肪の蓄積を防ぎ、高血圧や脂質異常症、糖尿病などに進行させないことが大事です。
これからできることは?
内臓脂肪はたまりやすい反面、減らしやすくもあります。皮下脂肪よりも内臓脂肪のほうがエネルギーを短期的に蓄える働きと脂肪をエネルギーとして燃やす働きが活発だからと考えられています。体重を少しずつ減らすことができれば、血管を守ることができ、動脈硬化を予防することにつながります。
食事内容の改善
なんとなく口にしているものを変えたり、減らしたり、やめてみるのはどうでしょうか。
今 | これから | 減らせるカロリー |
甘い缶コーヒーを飲んでいる | 無糖の缶コーヒーに変えてみる | およそ70kcal減 |
夕食後にお菓子やおつまみをたべる | 夕食後たべない おつまみをスルメなどカロリーの低いものに変える | ポテトチップスからスルメに変えた場合 およそ200kcal減(ひとつかみ程度の量) |
毎晩晩酌している | 休肝日を決める(週2回など) ビールの量を減らす(500mlから350mlへ) | ビールを500mlから350mlに変えた場合 およそ70kcal減 |
運動量・活動量を増やす
体重80㎏の人の場合、100Kcal消費できます
・ウォーキング(やや早め)17分 だらだら歩くのをやや速足で歩くだけでも消費カロリーがUPします
・ラジオ体操18分(ラジオ体操第一6回分)
・水泳(のんびり泳ぐ)12分 など
睡眠不足を解消する
睡眠不足になると体内で食欲を増進させる「グレリン」という物質が分泌され、一方で食欲を抑える働きを持つレプチンという物質が減少することから、過食傾向になりやすくなります。睡眠は心身ともに健康への重要な役割を果たしています。規則正しい生活を心がけ、夜間十分な睡眠がとれない方は、午後の早い時間に30分以内での昼寝をお勧めします。
血管の変化は長い時間をかけて起こります。早く気付けるとその時から生活を変えることができます。もしメタボかもと思われた方は、ご自身の生活を振り返ることから始めてみてはいかがでしょうか。