緊急情報はありません

人権・同和教育シリーズ195

2021年11月01日

「ヘアドネーション」を知っていますか?

地域人権教育指導員

末永 知恵美(すえなが ちえみ)


ヘアドネーションとは、小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故等で髪の毛を失った子どもたちのために、寄付された髪の毛でウイッグ(かつら)を作り無償で提供する活動のことです。

具体的には、髪の長さは12インチ(約31cm)以上必要です。アメリカ発祥のため長さの基準の単位はインチです。2021年からは10インチ(25.4cm)以上で可能です。

1人分のウイッグを作るためには30~50人分の髪が必要で、10月現在、1年から1年半待ちの状態だそうです。

寄付の方法は、ヘアドネーションに賛同する美容室で髪をカットしてもらい、後は自分で郵送すれば終了です。カット後はきれいにしてもらえます。菊池市にも2つの賛同サロンがあります。

髪の毛が伸びる速度は1ヶ月で約1cmですから、31cmになるには約3年間が必要です。5月24日付け朝日新聞で紹介された小学生の記事を読んで、より多くの人に広く知って欲しいと思い、高校で授業をしました。記事の内容は、小学校6年生男児が、4年生から髪を伸ばし始め、6年生の2月にカットし髪を寄付したというものです。小学生新聞でヘアドネーションについて知っていたこと、同級生に病気の治療のため髪をなくした子がいたこと、最も大きい理由は妹の為でした。この妹を救うため骨髄移植のドナーにもなり、両親は妹のために肺を一つずつ移植しました。長い髪の訳を知らない子どもたちは、「男のくせに」とか気持ち悪がったりしたそうです。

人のためにできることは、献血や寄付、ボランティア活動など様々な取組があります。被災地の復興活動に参加した高校生もいます。みんな心温まる取組です。自分にできることを無理せずに行うことは、達成感や充実感を味わうことにつながるのでしょう。ただ、このヘアドネーションは、長い期間を要するので覚悟がいります。

授業をした高校生のなかには、高校入学直前に、中学生の時に、それとは知らずに美容室の勧めで髪を寄付したが、初めてその意味を知った、寄付するため伸ばしている最中という生徒など、把握しただけでも女子生徒数の約10%が経験しています。「友だちがしていたので」「小学校の道徳で勉強して興味を持った」などきっかけは様々ですが、今回、自分も髪を伸ばそうと決意した生徒もいます。長い髪の手入れが面倒臭くなったこともあったそうです。授業で扱わなければ、こんなにも身近に、実行している高校生がいるということすら知らないままでした。

また、ヘアドネーションを話題にした時に、「私の母が最近しました」という驚きの答えが飛び出し、さらに詳しい内容を教えてもらうことにもなりました。熊本地震の避難中に出会った女性が実践しており、詳しく話を聴き、「私も誰かのためになりたい」という思いで取り組まれたそうです。

素敵な取組が行われていること、とても身近に実践している人がいること、その数も多いことを発見して、多くの方たちに紹介したいと思いました。

何か自分にできること、小さなことでも、はじめてみませんか。世界が広がるかもしれません。


トップへ戻る