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市長メッセージ

Message from the Mayor

市長からのメッセージvol.86 新しい学びの形

2021年06月01日

日本でも寄付文化が徐々に広がりつつありますが、その中で日本ファンドレイジング協会が行うLearning by Giving(与えることでの学び)という、米国生まれの寄付の仕組みがあります。協会は全国から集めた寄付金を直接誰かに与えるのではなく、まず寄付先を選定する高校を全国から募ります。選ばれた高校生は地元地域で社会貢献活動をしている団体を幾つも調べて、寄付にふさわしい先を自分たちで選定し、実際に寄付金を渡します。

本年は真和高校(熊本市)が選定する高校の一つに選ばれ、熊本県内の寄付先として唯一、本市のNPO法人「菊池公園歴史の森」を選定しました。このNPO法人は本市が進める日本一の桜の里作りに共鳴し、市と連携・協働して植樹などによる景観作りを進めている市民団体です。

私も寄付贈呈の立会人として同席しましたが、その発想と仕組みの素晴らしさに感動しました。受ける側にとっては突然の寄付は驚きであると同時に、高校生の純粋な評価で選ばれたこと自体が、金銭以上の大きな喜びと励みになります。高校生は選定のための調査や議論を通じて、地域の人々のさまざまな社会活動や物事の評価の仕方を学び、将来の社会貢献の担い手に育つでしょう。寄付者にとっては自分の寄付の価値が「てこの原理」で何倍にも高まります。

このような三方一両得が成り立つ根底にあるのは、人々の共鳴・共感・感動ということではないでしょうか。寄付というものの本質が、金や物ではなく心を届けるものである、ということを実感しました。毎日が学びの場です。


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