ニューヨークタイムス（以下ＮＹＴ）といえば、世界のメディアにも影響を与えることの多い米国の有力新聞です。そのＮＹＴが「2０２４年に行くべき52カ所」の第３位に山口市を取り上げ大いに注目を集めました。それを解説した新聞記事の要約を紹介します。

『山口県は民間の都道府県魅力度ランキングで全国40位近辺。何もないと市民がいう地味な山口市が、なぜパリに次ぐ世界３位の高評価なのか？ 自然の恵みや歴史文化…。古里の美点を市民は過小評価している。…市内にはアルカリ性のかけ流しの美肌の湯があり、暮らしに溶け込んでいる。最大の魅力は山に囲まれた静かな町の風情。ヒューマンスケール（人間の身体の大きさ）にあった居心地のいい都市空間なのだ。６５０年前の古地図がそのまま残るような古都のたたずまい。市内の川にはゲンジボタルが光を放つ。…』

どこかで見覚えのある風景ではないでしょうか。まるで私たちの古里を描写したかのようで感動しました。新聞解説はさらに次のように締めくくっています。『普段着の暮らしの中にある温泉や歴史的景観、アート…。市民の穏やかな日常こそが、ツーリズムの隠れたお宝だ。お金をかけずに官民がその魅力を発信すればいい』

この前年の２０２３年リストでは盛岡市が世界第２位でしたが、その時の理由も「山々や川の自然がまちなかに美しく溶け込み散策が楽しい。食べ物や古い建物や人々など、何気ない日常の中の豊かさがいい」と似たような評価でした。のどかな田舎の暮らしぶりこそが人をひきつける現代の癒やし。私たちの隠れたお宝は足元にあるようです。