最近、本市で開催された２つのコンサートに深い感動を受けました。１つ目は松本俊明さんのソロピアノコンサート。松本さんは歌手のミーシャさん他、数多くの有名楽曲（「Everything」など）を提供しています。ご縁の始まりは本市の古民家でのコンサート。有名な自作童謡「見えない羽根」を子どもたちが合唱したことに感動され、その後全国の小中学校を回り、１万人の合唱リレーを目指す取り組みが本市から始まりました。さらにご縁が深まったのは熊本地震。コンサート予定の当日、本人も菊池で被災され幻の演奏会となったのです。

コロナ禍発生以来、本格的な音楽会の開催も数年ぶりのことで、乾いた大地に水が浸み込むように、優しく美しい音楽がコロナ疲れの心を癒やします。最後は、ウクライナの平和を願う「ひまわり」と希望に満ちた「明日へ」の演奏で感動の幕を閉じました。

２つ目は「被爆ピアノコンサート」。広島で実際に被爆したピアノをプロの音楽家が演奏します。表面には被爆時のガラスの破片のような傷跡が見られ、ペダルを踏むごとにきしんだ音が泣き声のようにも聞こえます。このコンサートは、本市出身者がぜひ故郷の子どもたちに聴かせたいと奔走され、同級生を中心とする有志、趣旨に共鳴した音楽家など、多くの人のご協力で実現したものです。コンサートの途中では、隈府小・菊池農業高の児童生徒の感想朗読、泗水中の生徒による花房航空基地爆撃の生存者の実話に基づく紙芝居など、胸を打つコンサートでした。音楽がメロディーだけでなく、強いメッセージを届けること。その力を実感しました。

▲平成27年に本市を訪れた松本さん