年初にふさわしい明るい話題で始めましょう。菊池市中央図書館が、米国の有名雑誌「インテリアデザイン」の中で「しばらく居たくなる世界の12の図書館・書店」の一つに選ばれました。日本からは唯一の選出です。評価された「居心地の良さ」は、この図書館を作る際に関係者全員が一番こだわった点。それが「菊池から世界への発信」につながったのは関係者の努力のおかげです。

従来の図書館は静かに読書や勉強をする場所。しかし近年は市民の交流・発信の場とする考えが強まっています。キクロスでは設計段階から、新しい図書館のあり方を市民の人たちと一緒に徹底的に議論しました。その結果、単なる読書だけではなく2階の公民館施設とも連携することで、人々が知識を得ながらさまざまな議論を交わし、まちおこしなどの活性化につなげる「市民の知の交流拠点」と位置づけました。

そのためには人が集まる居心地の良さが不可欠。その空間づくりに真剣にこだわった結果が、図らずも世界に認められる形となりうれしい驚きです。この知的な空間を使って若手向けのまちづくり人財育成塾を2年連続で開催し、幾つかの新事業が生まれています。また図書館の中で落語やコンサートも行われるなど、愛される場所に育ちました。夕方や週末には勉強する中高生の姿であふれ、頼もしくワクワクします。子どもたちがこの空間で豊かな知性と感性を育み、世界に大きく羽ばたくことを願ってやみません。