今年のきくち桜マラソンは、市の合併20周年記念と同時に、通算70回目の節目でもありましたが、この当日、うれしい桜の贈り物が届きました。それは奈良県吉野町からの3本のヤマザクラです。吉野町は後醍醐天皇ゆかりの南朝の本拠地。懐良親王もこの吉野の地から苦難の末に菊池に辿り着き、菊池武光公と共に九州平定を成し遂げました。そのご縁から、菊池一族歴史街道のメンバー自治体である八女市長の仲介により、吉野町長自ら菊池を訪れ、苗木を寄贈されました。
世界的に有名な吉野町の3万本のヤマザクラ、その始まりは千三百年前。修験道の開祖、役行者が桜木に蔵王権現(ご本尊)を刻んだことで、ヤマザクラがご神木として保護され、それ以来、信者たちが信仰の証として献木を続けた結果が今の桜の名所です。つまり、花見ではなく祈りが目的でした。
贈呈式当日、ステージ周りは保育園児手作りのきれいな桜の花飾りと、高校生が作った美しい桜の壁絵。その足元を市民の方が育てたサクラソウの鉢植えが取り囲み式典を盛り上げました。またステージ上には、市職員がこの日のおもてなしのために、温度管理をしながら育てた3本の桜木が、満開の花で町長ご一行を歓迎しました。
今回のヤマザクラ寄贈で、懐良親王のふるさと吉野と菊池が、奇しくも約700年ぶりにつながったわけです。今回のご縁で、懐良親王ゆかりの将軍木の苗木を吉野町に贈呈することにしました。吉野のヤマザクラも、これをお迎えした菊池の手作りの桜たちも、共通するのは祈りのこもった心の桜。寒空の下、心が満開になりました。