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韓国発見シリーズ69 「韓国料理はいつから辛くなったのか(2019.9)」

2019年12月04日

現在は日本でも、辛い韓国料理を好きな人たちが増えている。

韓国ではいつから辛い食べ物、特に辛いキムチを好むようになったのだろうか。一般的には、日本から唐辛子が韓国に伝わったのは18世紀中頃。それまで薄味だったキムチに唐辛子粉を使用し、それ以来辛い食べ物を好むようになったといわれている。この説の起源について、最近の学問的根拠に基づき書かれたある大衆文化評論家の記事が非常に興味深い。

韓国人が「これほど」の辛い物を食べるようになったのはそれほど昔のことではない。2015年韓国食生活文化学会誌に掲載された論文によると、1937年から2014年までの料理の本や新聞、雑誌などに記された白菜キムチの調理法に、その変化を見つけた。

白菜1株当たりの唐辛子の平均使用量は、1930年代に5・75グラムだったものが徐々に増え、2010年代に至っては71・26グラムになっていた。なんと12倍だ。農林畜産食品部(省)のデータでは、国民1人当たりの唐辛子の年間消費量も1970年の1・2キログラムから2010年代には3キログラム以上に増えている。

なぜこんなに辛くなったのだろうか。国立民俗博物館学芸研究員の2009年の論文解釈によると、辛い味が大衆に拡散した時期を1950年代と見て、「朝鮮戦争、貧困と飢餓のストレスで辛い味を求めるようになった」と指摘する。唐辛子の辛さが中毒症状とエンドルフィン効果を出すのだという。

つまり「辛い味」は、韓国人が朝鮮戦争以降経験してきた非常に困難な生存闘争の歴史と軌を一にするという事だ。つらい時代の親たちは 貧困を子どもや孫に残さないために孤軍奮闘し、辛さで少しでも憂いを忘れ、再び生活戦線に飛び込んでいったのだろう。「辛い味」は、つまり血と汗の味だ。

事実、飲食業関係者は、韓国経済が芳しくない時に、辛いメニューがよく売れるという。今、韓国では最も辛い「チョンヤン唐辛子」でも辛さが足りず、カプサイシンを使った激辛のトッポッキを買い求める人が多い。この指標こそ、今の韓国国民が受けているストレスに対する「正直な」指標ではないだろうか。

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