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韓国発見シリーズ52 「失恋の博物館」

2016年11月01日

失恋の博物館

 クロアチアにある有名な博物館に「失恋の博物館」があるが、韓国の済州市でも見ることができる。その博物館は、別れに関係する記憶や品物を一般人から寄贈してもらい展示している。


 失恋と聞くと男女間の愛を思い浮かべる場合が多いが、展示の英文タイトルは、もっと広い意味の愛あるいは人間関係という意味もある。愛する人との死別を含め、突然終わった恋愛、失くした空間に対する思い出、昔の自分との別れなど、私たちが生きていく上で経験するさまざまな別離に関する展示である。


 この博物館を訪ねて感動する人々が多いようだ。7年前死別した夫が愛用していた古いSUV自動車の前には妻と息子からの手紙がある。


 「あなたの手入れがないのでエンジンもかからなく、扉もちゃんと開かないけど雪と雨に降られながらも私たちを守ってくれたあなたのような車!…あなた、このままずっと外に出しているともっと痛むから。これ以上辛い思いをしないでね。あなたが私たちを見守ってくれた時間よりもっと長く、これからは私たちがあなたを見守ります。」 (妻からの手紙)


 「パパ! 僕パパにまた会えたら…とにかくとても会いたくてパパに抱きついて泣きっぱなしになるよ。 そしてパパの車を喜んで展示してくれた博物館に感謝します。」 (息子からの手紙)


 単にセンチメンタルになりがちな離別がむしろ高く評価されているのは、個人的な痛みを告白し、それを乗り越えようとする内容だからである。それは立場や国境を超える人間同士の共感につながり、この共感こそが展示の核心かつ成功要因である。


 観覧した人は、博物館を後にしながら自分の人生を振り返るだろう。別れというのは非常に私的だが普遍的なので、誰でも胸が痛むことが何度かあるだろう。人生は楽しいことばかりではない。むしろつらい出来事の方が多いかもしれない。しかし、その経験から学び、克服し喜びを見つけ希望を捨てず前を向いて生きていくとき、豊かな人間になるのではないかと思う。


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