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韓国発見シリーズ45 「三無三多の島 済州島」

2015年09月01日

三無三多の島 済州島

 済州島は韓国で一番大きい島であると同時に、韓国領の島の中で人口が一番多い島でもある。(平成26年10月末時点60万人) 火山活動によってできた火山島で中央の漢拏山(1950メートル)を中心に緩やかな傾斜を成し、東西 73キロ、南北40キロの楕円形をしている。


 昔から石、風、女の三つが多いことから三多島と呼ばれた。島自体が巨大な熔岩の固まりであることからあちこちが石(玄武岩)で覆われている。また、島という地形上、潮風と漢拏山からの風が吹き荒れる。この風の影響で各家には大門がない。強い風で飛んでしまうからだ。それで留守にする場合、風で飛ばないように家の入口の石柱に丸太を横にかけておく。この丸太にも意味がある。1本だけかかっていれば「家の近くにいるからすぐ戻る」、2本かかっていれば「今日中には帰って来る」、3本かかっていると「遠くに外出しているので今日中には帰れない」という意味だ。そして、女性が多い事には悲しい事情がある。男は船で遠い海に漁に行き、水難事故のため海で死ぬ事が多かった。残されるのはいつも女だった。 

 また済州島は三無島でもある。島民は厳しい自然と闘いながら勤勉に簡素に暮らし互いに助け合ってきた。それで貧しいが乞食がいなかったと言う。ゆえに泥棒、乞食、大門がないということで三無島と言う。 

 済州島は地質上、農業ができる環境ではない。稲作は一部の地域に限られていたので、昔は稲藁が十分に取れず野原でよく育つススキで屋根を葺いた。このような伝統家屋は民俗村で今も見ることができる。 

 また済州島には火山活動の過程で生まれた多くの熔岩洞窟がある。この自然環境のおかげでユネスコが認めた生物圏保全地域、世界自然遺産、世界地質公園など自然科学の分野で3冠王になった世界唯一の地域である。 

 韓国は一般的に活気溢れエネルギッシュなイメージだが、穏やかで自然豊かな済州島という韓国の一面も知ってもらいたい。

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