「ファイト」
「闘う君の歌を」
中島みゆきさんの歌に「ファイト!」という曲があります。深夜放送の投稿をもとに作られた歌です。次のような歌詞から始まります。
あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた 女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる 悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる |
大人社会の冷たさにあらがう子どもたちの姿が胸にきます。
そして、こう続きます。
| ファイト!闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう ファイト!冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ |
「伝え合いができたら」
この歌を聞いて思い出す風景があります。
夜の集会所、町の人権集会に向けて発表文を検討する子どもたちがいました。
「そういう言い回しじゃ気持ちが伝わらんとじゃない?」
「もっといい言い方ないかな」
一言一句を吟味し、最適の言葉を考え、そして文章を練り上げていきます。時計は夜の十時を過ぎていました。
実はこの子達は、中学校で、ほかの子から次のような言葉を投げつけられていました。
「お前たち人権人権てうるさい・うざい」
ささいな言い争いから発せられたその言葉は、部落差別をはじめあらゆる差別をなくそうとする彼らの活動を根底から否定するものでした。
「なんでそんなこと言われなんと?」ため息をつく中学生たちに高校生の子が言います。
「言った子たち、学校じゃどんな?荒れたりしとらん?もしそうなら、そんな子たちにこそ声かけなんとじゃないと?」
以前その先輩たちは校長先生にお願いして中学校に相談室を作っていました。学校への足が重い子も、反抗ばかりする子も、ここに集まり話すことができたら…思いの伝え合いができたら…どんなにいきやすい学校になることだろう…そういう願いからでした。深夜の明かり、額を寄せ合う子たち。学習の終わりには中高生みんなで水平社宣言を読みあいます。
「人の世がどんなに冷たいか、人をいたわることが何かをよく知っている我々は、心から人生の熱と光を願求礼讃(がんぐらいさん)するものである。」
その言葉が彼らの思いを表します。
深々と冷える夜、子どもたちの声が響きます。忘れられない風景でした。
「冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ」
中島みゆきさんの歌、一度聞いてみてください。
地域人権教育指導員 宮崎 篤

