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人権・同和教育シリーズ253

2026年10月01日

変わるのは誰でしょう

私が行くと迷惑?

 スーパーで、一人の高齢の女性から話を聞いたことがあります。女性は車椅子で買い物をしています。だから、高い棚に商品があると、自分では手が届かないのです。商品が欲しいときは、店員さんに取ってもらっていました。ある日、店員さんから「忙しい時間は対応できない。次からは電話をしてから来てください」と、言われたそうです。その店員さんは、忙しい時間を避けてもらえれば手伝えると思ったのかもしれません。それでも女性は、「私が行くと迷惑なんだ・・・」と感じ、その店へ足が向かなくなったそうです。困らせていたのは、高い棚ではありませんでした。「自分は歓迎されていない・・・」と思わせてしまった言葉でした。

安心して暮らすには

 障害者差別解消法は「どうすれば、障がいのある人が安心して暮らせるか」を一人ひとりが考え、社会を変えていくことを求めています。「少しお待ちください。お手伝いしますね」この一言だったら、この女性は安心して買い物ができたのではないでしょうか。

「できません」の本当の意味 

 同じことは、外国人技能実習生との関わりにもありました。ある会社で、日本人の社員が仕事をお願いすると、技能実習生から「できません」と返事が返ってきました。最初は断られたと思いましたが、話を聞くと、「まだ教えてもらっていないので、自信がありません」という意味でした。

 そこで会社は、伝え方を見直しました。写真や動画で説明し、名札にはひらがなも添えました。仕事を教える上司による日本語教室も開催しました。すると、不安は安心へ変わり、笑顔が増えていったそうです。

共生社会をめざして

 これまでの社会は、障がいのない人や日本語を使いこなせる人にとって便利な社会でした。だから、困っている人がいても、「もっと頑張って社会に合わせてください」と求めていたのではないでしょうか。

 これからの社会は、だれもが安心して暮らせる共生社会です。障がいのある人や外国人の状況に合わせて、これまでの社会の仕組みを少しずつ変えていく社会です。その変化は、制定される法令による制度の変更だけで生まれるものではありません。「お取りしましょうか」「ゆっくり説明しますね」そんな一言から、誰もが安心して暮らせる、共生社会は作られていくのではないでしょうか。


                                                  地域人権教育指導員 中原 博昭

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