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人権・同和教育シリーズ240

2025年08月01日

関東大震災と人権侵害

関東大震災

あなたの身近に外国につながりを持つ人は住んでいませんか?大きな災害などが発生した時、助け合って避難行動がとれますか?

9月1日は防災の日です。1923年9月1日11時58分に発生した関東大震災の教訓から設定されました。マグニチュード7.9の本震の直後に、同規模の余震が2回発生した地震災害です。当時は台風の接近中で強風が吹く中、かまどや七輪で昼食の準備をしていた時間ということもあり、木造家屋が密集した都市部で火災が多発しました。広大な更地に避難した人々は、火災旋風(いわゆる火柱)の犠牲になり、死者・行方不明者の数は10万5千人にのぼりました。

かろうじて助かった人たちは、炊き出しや住居支援、衣服の提供などお互いに助け合いました。被災者でありながら同時に救護者でもありました。「困ったときはお互い様」という共助の心がありました。

一方で、このような混乱した状況下では、不安や恐怖心から不信感や差別意識などの本音が表出し、群集心理が拍車をかけます。

「朝鮮人が井戸に毒を入れた」

このデマを信じた大勢の人々が、「朝鮮人」とみなした人を虐殺しました。これまでの様々な資料や研究によると、この状況に至った背景には日本と朝鮮の関係の悪化がありました。朝鮮併合から13年、10万人強の朝鮮半島出身者が炭鉱や土木建築工事などの危険性の高い仕事に従事しており、日本人との対立や騒ぎ、殺人などの事件が多発していました。

新聞報道などでも見出しには在日韓国・朝鮮人への蔑称や偏見に満ちた記事が書かれ、「朝鮮人は何をするかわからない」という画一的な先入観を植え付けました。震災2日後には戒厳令が出され、当局は住民に自警団の組織づくりを命令しました。そのような社会情勢下では、蓄積した不満や差別意識が噴出してもおかしくはありません。個人が持つ差別感情に加えて、それを煽っていった当局や報道の責任が大きく問われます。

命が脅かされる状況下では、個を超えたより大きな力や集団の力に支配され、虐殺さえも起こり得るのです。

あなたは大丈夫?

もしも、あなたが当時の状況にあったとして、個として正しく判断し行動することができるでしょうか?これからの先の未来はどうでしょう?

いざという時、自分と他者の命・人権を同じ重さで大事に守ることができるのでしょうか?いざという時に問われるのは、日常の人権意識ではないでしょうか。特に、外国につながりを持つ人との関係はいかがでしょう?大丈夫ですか?


文責:地域人権教育指導員 末永知恵美(すえながちえみ)

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