日本遺産の構成文化財の中に、「菊池川流域の弥生時代の大集落遺跡群」があります。菊池市では弥生時代後期の小野崎遺跡、うてな遺跡がこれに該当します。
小野崎遺跡
小野崎遺跡は菊池川と菊池川の支流である合志川とに挟まれた台地上に立地します。遺跡近くの西側には合志川、遺跡の北東方向約500m離れた箇所には菊池川が流れています。これらの河川は侵入する外敵を防ぐ役目をしています。
この集落には環濠が巡っており、居住域と墓域とが分けられていると想定されます。居住域には多数の竪穴建物跡が確認されており、同じ場所で建て替えています。多量の土器、石器・鏡等の青銅器が出土しており、中心的な集落跡と考えられます。朝鮮半島からの搬入品と考えられる銅釦が出土しています。
うてな遺跡
うてな遺跡は菊池川の支流である迫間川東側のうてな台地上にあります。二重もしくは三重に巡る環濠をもつ弥生時代後期の集落跡です。それ以外は古墳時代の木棺墓、中世の火葬墓・掘立建物・道路が確認されています。
小野崎遺跡と同じように中心的な集落と考えられ、中国の新時代の貨泉、凝灰岩製の腰掛等の特殊な遺物が出土しています。
米つくり
これらの遺跡では、稲の穂だけを刈る石包丁と呼ばれる収穫用の石器が出土しています。弥生時代の水田は確認されていませんが、米の収穫道具があるので、米つくりを遺跡の近くで行っていたと考えることができます。
また、写真は小野崎遺跡から出土した表面にススがついた甕形土器です。このことから、米や雑穀を炊いて雑炊のようにして食べていたと想像できます。さらに、甑(こしき)が出土していることから、蒸す調理方法もあったと推定できます。