将軍木は、菊池市内の中心部、隈府を東西に走る御所通り(御所小路)の菊池高校正門脇に聳える椋の巨木です。熊本県の天然記念物に指定されています。
南北朝時代の南朝方、征西将軍懐良親王のお手植えともいわれ、樹齢は650年ともいわれます。
征西将軍として赴任された懐良親王が吉野を思い出し、寂しがられないようお慰めするために始められた松囃子ですが、親王お亡くなりのあとも、この将軍木を親王に見立てて松囃子を奉納することが地域の重要な伝統行事となっていきました。
江戸時代の書物『嶋屋日記』には、細川藩の財政窮乏の折、華美な催し事を禁じる指示があって能舞台の改築や松囃子を続けることが困難になったが、歴史的背景などを踏まえた松囃子の重要性を訴えた町民の声が届き、継続が認められた、ということが記されており、当時の町民にとって将軍木や能場、松囃子がとても大切なものであったことが分かります。
将軍木。右にあるのは頓宮で、毎年10月13日、松囃子奉納の前にここで神事がおこなわれます。