熊本地震で大きな被害を受けた菊池渓谷が、この春2年ぶりに再開しました。この間は本市観光業の歴史の中で最も苦しい時期でしたが、反面プラスにつながる二つの動きが出てきました。

　一つは、菊池渓谷に頼りきった体質を改善しようと、観光協会などを中心に菊池一族と延寿鍛冶展のような新しい試みが本格化したこと。

　もう一つは、渓谷の復旧支援を広く訴えることでファンづくりを進める契機となったことです。

　東京などでの菊池白龍の公演では菊池渓谷のために多くの寄付金が集まりました。他にも、菊池ファンの音楽家が中心となって、東京で渓谷再開のためのさまざまなチャリティコンサートが開かれました。初めて見る菊池渓谷の映像に、ほとんどの方が「こんな場所があったのか」とため息をつかれます。スイスの若手有力ピアニストは2年連続で菊池に駆けつけて、無料コンサートで私たちを応援してくれています。こうしたことのお蔭か、渓谷の再開後、来場者数は震災前の2割増しと好調です。

　見ず知らずの方々からこのような無償の支援がいくつも続くことは嬉しい驚きです。菊池渓谷には人の心を魅了する不思議なパワーがあるからですが、知られなければ存在しないのと同じです。発信、発信、また発信!渓谷のマジックパワーを生かすのは、私たちの汗の量次第です。