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人権・同和教育シリーズ183(12月号掲載)

2020年12月01日

「すべての人の豊かさのために」

地域人権教育指導員 宮川伊十(みやがわいじゅう)

ゴミの分別、レジ袋の有料化等には慣れましたか。実は、これらの取組は世界の人や環境とつながっているのをご存じでしょうか。

最近、SDGs(エスディージーズ)という言葉を聞いたことはありませんか?これは、2015(平成27)年9月、193カ国の代表が集まる国連サミットにおいて採択された、「持続可能な世界を実現するための開発目標」のことです。背景に、世界各国の飢え、絶えない紛争、避難民の問題、環境悪化による動植物の絶滅危惧(きぐ)等があります。2016年から2030年までの15年間に地球規模で取り組む「世界を変える17の国際目標」が掲げられました。

皆さんは、いくつご存じですか。

  1. あらゆる貧困を終わらせる。
  2. 飢餓をゼロに。農業促進。
  3. すべての人に健康と福祉を。
  4. すべての人に質の高い教育を。
  5. ジェンダー平等の実現 。(男女間の格差是正、すべての女性・女児の能力強化)
  6. 安全な水とトイレを世界中に。
  7. 持続可能な安価で信頼できる近代エネルギーの確保。
  8. 生産的で、働きがいのある人間的雇用。
  9. 産業と技術革新の基礎作り。
  10. 人や国の不平等をなくす。
  11. 住み続けられるまちづくり。(災害等に強い都市・住居)
  12. 持続可能な生産消費形態。(作る責任、使う責任)
  13. 気候変動への具体的対策。
  14. 海の豊かさを守る。
  15. 陸の豊かさを守る。
  16. 平和と公正をすべての人に。
  17. パートナーシップで、実施手段を強化し、連携の活性化。

SDGsロゴ画像

 


 

需要と供給のアンバランス、二酸化炭素の大量排出、海洋開発、近隣国との連携等、この17の目標を達成するために、169の具体的な項目も用意され、世界を変える道筋が示されています。「誰一人取り残さない」という誓いのもと、各国が取組を始めています。

2年前の調査結果で、日本は、162カ国中15位でした。目標4の「質の高い教育」だけが高評価で、目標5・12・13・14・17は、低い評価でした。特に目標5の「男女間の格差」については、153カ国中121位という結果でした。

菊池市でも女性管理職の占める割合は、10~23%です。国においても同じような状況で、評価の低さにもつながっています。本市では、各課において、SDGsの各項目を施策に位置づけました。

今から300年前の江戸時代、鎖国政策をとっていた日本は、物を最大限に生かしながら使い切ることを高く評価しました。土に返すのは、もうこれ以上使いようがないものだけでした。商売にしても「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の精神を大切にし、利益が貯まると無償で学校や橋等を建てる人がいました。決して富を我が物にせず、社会に還元していたのです。かつて、この国には、持続可能な社会が形成されていた歴史があります。

地球上にある資源は限られていますし、地球自体の再生能力にも限りがあります。今、立場の弱い国や人、動植物の生命が、危険にさらされています。

私たちにできることは、SDGsの取組を通して、少しでも世界に目を向けること。そして、自分と同じように他の人を大事にする思いや行動を大切にすること。そこから、世界を豊かに変える力が生まれるのではないでしょうか。

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