2年目を迎えた「日本一の桜の里」プロジェクト。この春は各地域の川沿いの他に、花房の坂の斜面にも地元の方々と植樹をしました。現在の桜が老木化しており、今のうちから次世代を育てるためです。驚いたことに、植樹会には100人以上が集まりました。しかも小さい子どもたちでいっぱいです。急斜面に這いつくばり、おしゃべりに笑いこけながら、楽しい植樹会でした。

最後のあいさつで地区の古老が差し出したのは、約50年前の桜植樹の新聞記事でした。「当時の父や祖父たちが植えた桜が今や寿命を迎え、その年齢になった自分が再び桜を植える。花開くのは次の世代。これを繰り返していけばいい」。会ったことのない当時の人々の思いを共感し、植えたばかりの桜の苗木がいとおしく思えました。

子どもたちにとって、今日はピクニックの延長だったかもしれません。しかし、彼らが大人になったとき、きっとこの楽しい光景を思い出し、改めてそのときの意味を理解する日が来るでしょう。私たちは木を植えたつもりでも、木は別のものを私たちの心に植えつけてくれている気がします。花房の坂からの景色をバックに撮った集合写真が、ことのほか美しく見えました。