先日、ブラジルから19人のお客さまをお迎えしました。熊本からの移民者のご子孫です。思いもかけず、その訪問団の皆さんから手作りの竹のペン立てを記念にいただきました。
「この竹は熊本の移民者が故郷の思い出にと、約100年前に竹の根を持ち込んだもの。この間、望郷の念に駆られながらも、再び故郷を見ることなく果てた先人も少なくない。我々は今も熊本を母県と呼んで慕っている。熊本県出身のこの竹も同じ気持ちであったろう。竹にとって初めての里帰りを実現させようと、皆で真心を込めて作った素人細工である」
確かに、切り口も不ぞろいで接着剤がはみ出して、お世辞にもうまい作りとは言えません。しかし、その話を聞いた瞬間、手にした竹細工がずしりと重く感じられました。
昨年10月には、泗水出身のブラジル移住者が来庁され、「故郷あっての自分。その恩返し」と多額の現金を寄附されました。この二つに共通するのは、故郷を離れることでそのありがたさを実感するということです。そこに生活する私たちはそのことを忘れがちだということを、あらためて考えさせられました。100年ぶりに里帰りした竹は今の菊池をどう感じているでしょうか。