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人権・同和教育シリーズ214

2023年05月16日

語りつなごう 平和のバトン

菊池飛行場跡

『空あおぎ 平和を祈ろう 花房飛行場あと』(菊池ふるさとかるた引用)

花房飛行場跡給水塔の写真

 この写真に写っているのは、菊池ふるさとかるたでも紹介されている花房飛行場跡給水塔です。

 この地域には、あちこちに戦争の爪痕が残っています。花房飛行場は正式には菊池飛行場といい、戦時中に陸軍の飛行学校として1940(昭和15)年、花房台地に建設されました。飛行場には、数多くの練習機や戦闘機、施設があり厳しい訓練が行われていました。しかし、終戦間近の1945(昭和20)年5月13日から14日にかけての大空襲でほぼ全壊し、多くの犠牲者を出しました。

 特にこの給水塔は、戦後この地域の復興にも大きな役割を果たしたことから、菊池市の文化財に指定されています。また、この給水塔のほかに、ガソリン貯蔵庫、格納庫、門柱などの戦争遺跡が残っています。これらを見て回ると戦後の平和のありがたさを特に感じます。訓練を積んだ若者がひとり、またひとり、特攻隊としてこの地をあとにしました。若者たちを見送った人々のさまざまな思いが胸をしめつけます。戦争は絶対に起こしてはなりません。命を軽んじる過ちを二度と繰り返してはいけないのです。

歴史と記憶を風化させない

 戦後78年が経ちます。多くの人たちの記憶からその時の悲惨な状況が忘れ去られようとしています。戦時中の様子を知る人や大切な家族を亡くした人たちは、年々高齢化して語り継ぐ人たちは少なくなってきています。

 そんな中、菊池飛行場跡のさまざまな施設や関連する資料を後世に残そうと地域の有志が知恵を出し合って活動をしています。その一つが、「菊池飛行場ミュージアム」です。ご覧になられた方もたくさんいらっしゃると思いますが、もっともっと多くの市民の皆さんに一度訪れてほしい場所です。

 私も実際に見てきました。ミュージアムには、所狭しとさまざまな資料、写真、手紙、絵などが保存してありました。ミュージアムの事務局の方は、「人の記憶は時代とともに忘れ去られがちです。飛行場跡地に残された戦争遺跡を見て、当時そこで生活していた人の話を聞くことにより、戦争があった事実を知る。これにより、平和の大切さを理解できるのではないかと思います。特に、若い人たちに知ってもらいたい。後世に伝えてもらいたいのです。私たち大人には、これからの時代を生きる子どもたちに、平和のバトンを渡していくという大きな責任があると考えます」と、熱く話をされました。

 また、飛行場の見学は、事前に予約をすれば、時間をかけて遺跡を見ることもできるということでした。

戦争は最大の人権侵害

 いま、広島や長崎に原爆が投下された日でさえ忘れ去られようとしています。だからこそ、私たちの身近にある戦争遺跡に関心を持ったり歴史を学んだりすることが次の世代へのバトンとなるのです。

 戦争は最大の人権侵害です。未来の子どもたちに残すものがあるとしたら、それは戦争や差別のない社会ではないでしょうか。


(文責:地域人権教育指導員 宮川 淳一)



菊池飛行場ミュージアム
表:菊池飛行場ミュージアムについて
開館時間午前10時~午後4時
入館料200円(小学生以下無料)
問い合わせ先0968-38-2252(富原保育園)
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