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埋蔵文化財・文化・歴史

Cultural Heritage, Culture and History

菊池市の無形民俗文化財を紹介します。

2023年04月01日

菊池市では古くから、神楽や獅⼦舞など様々な⺠俗芸能が⾏われてきました。

そのうち15件が国や市の指定⽂化財となっており、地元区や保存団体によって今⽇まで守り

伝えられています。

今回はそのうち3件の無形⺠俗⽂化財についてご紹介いたします。

岩本神楽

菊池市旭志弁利の岩本区で継承されている神楽です。毎年7⽉25⽇ (夏祭り)、11⽉25⽇(秋祭り)に岩本菅原神社で、12⽉15⽇(岩本天神祭り)に市指定天然記念物である椋の⽊「岩本の巻天神」前で奉納されています。

岩本の巻天神前での奉納の様⼦の写真

 


 

(岩本の巻天神前での奉納の様⼦[令和4年12⽉15⽇])

岩本神楽は明治4年(1871)、村⺠の幸福と豊かな⽣活を祈願するために、16名の奉納者により初代神楽連が結成され、始まりました。

神楽の構成は太⿎2⼈、笛2⼈、舞⼈6⼈からなり、笛太⿎の曲に榊(さかき)舞、幣舞、⽶舞、⼸剣舞、⼸舞、歌、剣舞、地固(じがため)舞の⼋段の舞が舞われています。

100周年をむかえた昭和46年(1971)には、神楽を伝承するために岩本神楽保存会が結成され、今⽇まで後継者養成、神楽奉納を⾏っています。そして令和4年(2022)には、岩本菅原神社にて第19代岩本神楽連継承式と150年祭が⾏われました。

19代目となる10名の奉納者は継承式に先⽴ち、18代目の指導により神楽を習得しました。

岩本神楽練習の様子の写真

 


 

(練習の様⼦)

12⽉18⽇(⽇)継承式当⽇は雪の舞う寒い⽇でしたが、地元区の⽅だけでなく菊池市外・熊本県外からも観客が訪れ、19代目の舞を⾒守りました。

継承式では榊舞、⽶舞、剣舞が舞われたのち、18代目から19代目へ神楽の道具(剣・鈴・笛・太⿎のばち)が継承され、式の最後には神楽の最後の舞である、地固舞が披露されました。

岩本神楽の写真

 


出⽥の獅⼦舞

菊池市出⽥で⾏われている獅⼦舞です。

創建1150年頃といわれる出⽥の若宮神社に奉納されるもので、下出⽥区・植古閑区の⽒⼦により、11⽉25⽇秋祭りの夜に舞われています。

⻘・⾚2頭の獅⼦が、⾖絞りの鉢巻に⼿甲、脚半(きゃはん)、⿊の股引姿の先導役の打つ拍⼦⽊、「ソーレ」の掛け声に導かれ、横笛・太⿎の伴奏のもと、⼤きく右に3歩、左に3歩と交互に斜め前⽅に緩い動きで舞います。

先導役を先頭に⻑⽼・拍⼦⽊・獅⼦・太⿎・笛と総勢24〜5名の⾏列を作り、座元の家から集落を回ったあと、若宮神社の周りを右回りに3回舞います。由来は明らかではありませんが、舞の形が全国に類をみないことなどから、かなり古くから受け継がれていると⾔われています。

獅⼦舞の継承、後継者育成を⾏っている出⽥の獅⼦舞保存会では、地元の花房⼩学校への指導も⾏っています。令和4年11⽉13⽇(⽇)には、「花房フェスタ2022」内で発表会も⾏われ、観覧には多くの⼈が訪れました。

出⽥の獅⼦舞発表会の様子の写真

 


 

(発表会の様⼦)

また、発表会に先⽴つ11⽉9⽇(⽔)に⾏われた練習では、出⽥の獅⼦舞保存会の会員が⼩学校を訪れ、舞⼿である⼦どもたちに獅⼦舞の動きや笛・太⿎の演奏についてアドバイスを⾏いました。

出⽥の獅⼦舞練習の様子の写真

 


 

(練習の様⼦)

秋祭り当⽇、11⽉25⽇(⾦)に⾏われた獅⼦舞は、座元の家から舞いながら集落を練り歩き、最後に若宮神社で奉納されました。新型コロナウイルスの影響で昨年度まで夜間に獅⼦舞を舞うことが出来なかったそうですが、今年は地区の⼦ども達を中⼼とした笛・太⿎や舞いを披露し、観覧に訪れた多くの⽅々が舞を楽しみました。

秋祭り当日の様子の写真

 


住吉⽇吉神社⾬乞太⿎

菊池市泗⽔町住吉に所在する住吉⽇吉神社で⾏われる、⾬乞いのための太⿎です。菊池市の無形⺠俗⽂化財に指定されている他、菊池川流域の⾬乞い習俗として⽇本遺産の構成⽂化財の⼀つにも数えられています。

今からおよそ560年以上前にこの地を治めていた合志隆門(こうしたかかど)が、旱魃(かんばつ)により住⺠が苦しむのを⾒て、⼈々の災難を救おうと住吉⽇吉神社の神前に軍門の太⿎を⽤いて三⽇三晩打ち通し、⾬乞いをしたことに由来するといわれています。それ以来⽒⼦総出で祈願するようになったと伝わり、現在は夏の7⽉20⽇前後の⽇曜⽇に奉納されています。

⾬乞太⿎は太⿎組として数⼈で受け継がれていましたが、後継者育成のため昭和58年(1983)に住吉⽇吉神社⾬乞太⿎保存会が結成され、現在14名の会員が活動されています。

合志隆門の頃より伝わるとされる太⿎は、直径115cm、厚さ65cm、重さ80kgの⽜の⽪が張られた⼤太⿎で、本番4⽇前に男性7⼈がかりで運ばれ、練習が⾏われました。以前は境内の⽴ち⽊に結び付けていたといわれる太⿎は、現在は特注の叩き台に紐で吊り下げて設置されています。

太鼓を運ぶ様子の写真

 


 

令和4年7⽉17⽇(⽇)、午前中に川祭りが⾏われた後、⾬乞太⿎が奉納されました。

本来は境内で⾏われるものですが、今年は⾬の続く時期でもあり、社殿で取り⾏われました。

太⿎を叩く際は、⼩ばちのリズムに合わせて⼤ばちを打ち込みます。⼩ばちは⼤ばちが5、6⼈交代するまで叩き続けます。

太鼓をたたく様子の写真

 


 

1回打ち終わるまでに20分程かかり、これを何回も繰り返します。

太⿎は保存会の会員以外が叩くこともあり、叩きたい⼈がいればその場で叩き⽅や、やってはいけないことなどを丁寧に教えてくれます。現在の保存会の会員の中にも、こうやって⾬乞太⿎を叩くようになった、という⽅がいました。

たたき方を教わる様子の写真

 


 

この⽇も川祭りの組の⽅や訪れた⼦どもが太⿎を教わる場⾯が⾒られました。

菊池市教育委員会では、令和5年7⽉22⽇(⼟)〜11⽉19⽇(⽇)に菊池市内の指定無形⺠俗⽂化財保存会(15団体)の活動や例年の年中⾏事を紹介する企画展を予定しております。

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