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韓国発見シリーズ51 「韓国ドラマ「商道」の主人公、林尚沃(イム・サンオク)」

2016年09月01日

韓国ドラマ「商道」の主人公、林尚沃(イム・サンオク)

2001~02年、韓国のMBCで放映されたドラマ「商道」は19世紀の朝鮮王朝時代、貧しい境遇に生まれながら、私利私欲に走らず「商道」を追究した実在の大商人、林尚沃(1779~1855年)の波乱に満ちた生涯を描いた作品だ。その商人哲学と知徳で数々の苦難を乗り越え、世のため人のために商売を行い、奴婢から高位官職にまで上りつめながら、晩年は自分の財産全てを民のためになげうった。富裕な商人は数多くいたが「巨商」という呼称はただ彼にだけ付けられた。 


林尚沃は朝鮮時代後期、中国との国境都市の義州で活動した豪商である。彼は朝鮮で初めて人参貿易権を独占し、天才的商業手腕を発揮した。彼を有名にした話の中に北京商人がたくらんだ「朝鮮人参の不買同盟」を巧みに壊し、原価の数十倍で売りさばき莫大な財貨を稼いだ逸話がある。


彼はその後、貧民救済や慈善事業をした功績が認められ、郡守(郡の首長)や府使(高位管理官)に抜てきされたが、備辺司(朝鮮中・後期の最高議決機関)の論斥を受け辞退した。朝鮮史の歴史家によると当時の厳しい階級社会で彼の出世は、既得権者の不満を買ったのだろうと言う。官職を辞退した後は、貧民救済と詩酒で余生を送った。


今、彼の生涯が話題になっているのは、富に対する考えや社会のために富を還元したその精神である。彼は「財物は流れる水のようで、人は公正なはかりのようである」と言った。水は一時的に留めることはできるが、永遠に所有することはできない。 無理に所有しようと閉じ込めておけばその水は腐ってしまう。同様に、財物も手中に入るがそれは一時的であり、やがては出ていく物である。


実際に林尚沃は稼いだ財産を貧民救済と慈善事業に使った。まさに水の流れのように高い所から低い所に流したのである。韓国の「渋沢栄一」とも言える高い精神性を持った彼のドラマは、日本でも評価され感動を与えるだろう。

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